過去問の使い方(社会編)【エピソード9】

過去問の使い方(社会編)
よくあるご質問に
「過去問はいつから始めれば良いですか?」
と言う質問を頂きます。
よく塾などでは、夏休み明けの9月から学習に盛り込むところが多い様ですが、いつから始めれば良いかと言われれば答えは一つで、
「参考書などで6年間の勉強が一通り終わったら・・・。」
が正解だと思います。
おそらく塾では、夏休みまでに6年間の学習を終わらせる予定なので、9月から始める事が多いのだと思います。
なので、逆に言えばまだ全ての勉強が終わっていないのに過去問を解いても答え合わせの時に
「これ、まだ習ってな〜い」と言われてしまうのであまり意味がありません。
なので、過去問を解く前に早く参考書を一通り終わらせ、それから始めれば良いと思います。
知識はグラデーション
息子ちゃんの場合、最初は学校の授業で教わる社会しか知りませんでしたし、受験で使えるレベルの知識かと言えば全てがバラバラで全く整理されていない知識ばかりでした。
なので最初は、知識を整理する事から始めました。
まず参考書を端から端まで正確に人名から地名に至るまで覚えるのではなく、大雑把に
「九州はなんとなく暖かくて秋には台風がよく来る。」「東北は寒くて雪が冬に降るから冬の降水量が多い」
などかなり大雑把でも、日本ってこんな感じの地域があるよねぇ〜と知るところから始めました。
歴史では、まずは時代の名前となんとなくその時代の雰囲気が言えて、細かい人名や地名は覚えてなくても「武士の時代〜」とか「貴族の時代〜」など時代の流れが見えてくる様に整理していきました。
もちろん最終的には、覚えないといけないんですが、最初は一通り全てを学んで、薄く全体が見えてきてから徐々に深くしていきました。
なぜざっくりとした知識をスピードを持って覚えさせたかと言えば、息子ちゃんは全く整理されていない知識だったので一つ一つ時間をかけて覚えさせると二週間前の知識がどんどん薄れて、歴史や地理の全体像を把握できない上にまたバラバラの知識ばかりになっしまったからです。
知識はグラデーションです。
薄い色から徐々に濃くしてあげる方が全体像が把握できて良かったと思います。
過去問から見える求められる知識の深さ
私は息子ちゃんに過去問を解かせる前に一度、自分で解いてみて、
「なるほど〜この学校はこの程度の深さの知識を求めるんだな〜」
と言う部分に着目をして息子ちゃんにどこまで覚えさせるかを判断しました。
残り1年もないので志望校では問われないレベルの知識はこの際覚えなくて良い!と言う事にしました。
では、知識の深さってなんでしょう?
受験される学校の偏差値によって、この知識の深さが変わって来ます。
では、ここで一つ知識の深さを知る問題を例にあげたいと思います。
①飛鳥時代に作られた絵の寺院の名前を答えなさい
②飛鳥時代に作られた写真の寺院の名前を漢字で答えなさい
③飛鳥時代に作られた写真の寺院の名前を漢字で答えなさい
知識の難度がお分かり頂けましたでしょうか?
もちろん答えは全て「法隆寺(①は、ほうりゅうじ、でもOK)」
①と②の違いは簡単ですよねw
漢字を正確に書けるかの違いがあり、①の学校であれば無理に漢字で書く必要もありません。
②まで問う学校であれば、ある程度まで漢字で書ける必要があります。
①と②の写真と絵は、誰もが教科書で見たことのある『the!法隆寺』です。
通常は、法隆寺と言えばこの構図で覚える事が多いです。
しかし③となると法隆寺のあらゆる角度で撮られた写真全てを見て「法隆寺」と答えれる必要があります。
偏差値50までですと大体②まで覚えれば大丈夫だと思いますが、もっと上の学校や合格最低点が低い学校は③の問題を出す事があります。
ちなみに首都圏模試では③まで分からないと解けません。
簡単に言えばこれが、知識の深さだと思います。
知っているか、知らないかの二つではありません。この部分を親が先に過去問を解いた時に探ってあげる必要があります。
この学校は、きっちり漢字で聞いてくるなぁ〜。と思えば漢字まで丁寧に書ける様になる必要がありますし、ほとんど漢字で答えさせる事がないなぁ〜と思えばひらがなでも良いので正確に答えれる様になれば大丈夫です。
「こんな写真の法隆寺見た事ないよぉ〜!」と言う問題が出題されていれば、
「なかなか難しいなぁ〜」と知っているだけでも、現状の子供の知識と志望校が問う知識の深さにどれぐらいの差があるのかを知る事が出来ます。
テストの内容は無視して、点数ばかりで一喜一憂するのではなく、志望校で問われる問題で落としてないかを見る事が大切だと思います。